【備忘録】ASHRAE Journal NOV 2022を読んだ話。
いろいろあってASHRAEの会員なのですが、会員登録をしていると雑誌が送られてきます。今日はGW終盤で自宅に戻ってきたのでゆっくり雑誌を読んだ時の話をブログにしようと思いました。
タイトルはCombined Heat and Power Technologyとあり、大きなテーマは熱関連かなと思いますが、この時に心に残ったのはEditorのJohn G. Falcioni氏の”Airborne Disease Transmission Risk and Energy Impact of HVAC Mitigation Strategies Michael J.Risbeck, 2022″に関するコラムでした。
2023年5月5日(つい先日)に国連が新型コロナウイルス感染症に関して”国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態”に当てはまらなくなったと発表されたものの、第二第三のパンデミックが今後出てくることを考えると換気については何かしら自分の中で方針を持つべきだと感じていたところ、このようなレビューに出会えるので幸運だったのかもしれません。
コラムの中で触れていたのは、有効な換気をするにはコストがかかるが、罹患した方を治療することと比較するとコストがかからないこと、そして過剰な換気量はエネルギーがかかりすぎるということです。中間期であればよいのですが冬季夏季で例えば2回換気を求められたとしたらだいぶ大きいエネルギーがかかりますし、確実に換気するのであれば窓を開けるだけの自然換気でなく機械換気で換気することにもなります。
ここまでは常識的なところなのですが、Equivalent outdoor air(EOA), 直訳だと等価外気量, という私には見慣れない言葉があり最初は空気齢のような換気由来の用語と思いましたが、同じ著者が2021年に書いた論文を見る感じ空調の循環空気をフィルターで清浄化することを示しているようでした。インフルエンザの原因物質の粒径とその分布を分析した参照文献からMERV8なら56%、MERV13なら90%という効率ηが示されているので、各感染症ごとにもきっと異なる係数になるのだと思います。
空気質のバロメーターである二酸化炭素とエネルギー消費の二つの軸での評価を提案されているのですが、感染症によってフィルターで原因物質を除去できる場合とできない場合で方針が変わるかなと思います。前者は適切なフィルターを空調機に設置し、適切な二酸化炭素濃度に維持する最低限の外気負荷で計画することになりますが、フィルターによる静圧増(MERV13の圧力損失は200Pa以上)を考慮しなければならないので、フィルター捕集率を荒くしてエネルギー的最適なものを探索する検討もあるかもしれません。一方で後者はシンプルで換気のみの対応となると思います。